東京高裁判決に対する上告を受けての弁護団声明と記者会見
(速報)上告受理申立てがなされたとの情報が入りました。
17時から記者会見となります。
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(追記)以下,記者会見の概要です。(※逐語に見えても概要です。)
弁護団声明(旧優生保護法訴訟の 東京 高裁 判決に 対し上告 受理申立 がなされたことについて)(PDF)
(テキスト版はこちら→「弁護団声明(TXT)」
【関哉弁護士】本日国が東京高裁の判決に対して上告受理申立てをした,ということの連絡がありました。大阪高裁の判決,東京高裁の判決は,国の責任を正面から認めるものでした。これを早く確定させて,北さんをはじめとする被害者の全面解決のため,上告しないようにいろいろと働きかけてきました。この間,院内集会,署名活動,街宣行動,そして,国会議員への要請などを続けてきました。各党でも声明や談話をだしてくださって,上告をしないで全面解決を早期に図るよう働きかけて下さったのですが,国としては最終的にこういう判断になったこと,大変残念です。
しかしながら,判決が正面から国の責任を認めた事実は変わりません。大阪高裁は国会の責任を,東京高裁は旧厚生大臣の責任を認めています。こういった責任をしっかり踏まえ,また,東京高裁の平田裁判長が所感で,「これは国の責任のみならず社会全体の責任だ」と言ったことを踏まえて,あらためて,国としてしっかりこの問題と向き合っていただいて,上告にかかわらず,早期解決を引き続き求めていきたいと考えています。ですので,下を向かず,諦めず,これからしばらく,まだまだ国会も続きますので,次の判決が出るまでにできる限りのことをして,早期に政治的解決を含めた全面解決を求めていきたいと思っています。
国が上告受理申立てをしたというのは,それはそれで一つの判断として仕方ない部分はあるんですけれども,ほんとに高齢になる被害者のことを考えてされたことなのかということには非常に疑問があります。最高裁の判断を仰いで法的安定性を優先するという態度は非常に承服しがたい。目の前にいるひとりひとりの被害者のことをしっかり見ているのかと強く言いたい。
とにかく時間が足りません。最高裁の判決を待っていたら,多くの救われるべき権利が救われない。1日でも早くこの問題を解決できるように,繰り返しになりますが,政治解決を含めて早期解決を早めに訴えていきたいと思いますので,この場を借りて申し上げることではないかもしれませんが,国会議員の皆様,そして省庁の皆様,引き続きこの問題に向き合って,一緒に早期解決に向けて取り組んでいっていただきたいと強く願っています。ですから,北さんも,まだまだ諦めずに,今日が下を向く日ではありませんので,まだまだ前を向いて,北さんの本当の笑顔を1日でも早く見られるよう僕らも頑張っていきますので,皆さんも引き続き応援のほど,よろしくお願いいたします。
【北さん】大阪高裁に続いて,東京も上告したということをさきほど聞きました。向き合わずに上告する,なぜなんだろうと私は思いました。弱い人をどこまでいじめるのかと国に言いたいです。私たちは高齢者ばっかりです。元の体を返してくださいと国に言いたいです。64年の人生を返してください。それが返せないなら上告を取り下げてくださいと国に言いたいです。1日も早く被害者の被害回復と早期全面解決を弁護士さんにお願いするしだいです。弁護士さんについていくしかありません。
【関哉】僕らがついていく番ですからね。(笑)
【新里弁護士】緊急の記者会見となりましたが,それだけこの問題が深刻で,早期に解決すべき問題であるということがこの場では認識されているのに,その思いが官邸には届かなかったということは,きわめて残念というか,官邸がひとりひとりの命と向き合っているんだろうか,ということを思わざるを得ません。
みなさんもご承知の通り,旧優生保護法は,1948年,不良な子孫の出生防止というまさに差別的思想に基づく非人道的な手術を強制したものです。そして,それから既に74年,北さんが手術を受けてから64年,母体保護法に1996年に改正されてその条項が廃止されてからも26年,長い長い年月があって,そして大きな地方の東西の高裁の判断があるのに,どうして国はまだ争いを続けるんでしょうか。本当にいつまで被害者を苦しめるんでしょうか。私はそれを絶対許せない。聞く耳を持つ総理,ちゃんと聞いてくださいよ。そして,ちゃんと決断してくださいよ。今決断しなかったとしても,私達は早期の被害救済を求めて,早期の解決をいろんな形で求めていきたい。そして早く,北さんだけでなく優生手術の被害者の全面解決を図っていく,そういう活動を更に続けていくつもりです。今日は,北さんとともに前を向いて闘っていくぞという思いでここに臨みました。
私たちは勝ったのです。高裁で勝ちました。それをどうして認めてくれないのか。だから,下を向く必要はありません。前を向いて解決を推し進めていく,そういう決意をこの場で述べさせていただきたい。
【藤木弁護士】私は弁護団の一員であるとともに,耳の聞こえない障害のある弟と一緒に育ってまいりました。今回はたまたま逆転勝訴という旗を出させていただいて,そこから2週間,北さんや東京弁護団,全国から集まってきた弁護団と,院内集会であったり国会議員回りであったり,いろいろと活動してまいりました。
ただ,一点今振り返って,下を向くべきでないと言われて少し思ったのが,署名活動にしても「上告しないで」ということばかりを出して,勝ったにもかかわらず,なかなかなんか自信を持てなかった部分があって,それはやはり,今までずっと長らく障害があるとか差別を受けてきたことによるものだと思うんです。障害があることとか手術のこととか,差別を受けてきてなかなか言えなかったというのがあったので,正直大阪も東京も勝った瞬間もあまり信じられなかった部分,自信を持てなかった部分があったのかなと思って,今そこは反省しています。
やっぱりみなさんもこうやって応援してくれているし,裁判所も認めてくれる。お会いした国会議員の方々も,全体としては難しくても,ひとりひとりの立場としては上告すべきではないという意見を出してくださいましたし,党としてもそういう声明を出してくださった方々もいます。ですから,あらためてやはり,これから国が上告してもしなくても,まぁ上告しましたけど,引き続き強い気持ちを持って前に進んでいこうと思いました。
【質疑応答】署名活動や全国の訴訟の状況などに関して質問がありましたが,力尽きたので割愛。