東京訴訟第9回期日&集会
2019年12月18日,東京の第9回期日が行われました。期日に先立ち,13時から入庁活動を行いましたが,今日もたくさんの人が集まってくれて感謝です!
14時からは,法廷で弁論期日が行われました。
原告側は北さんと,北さんのお姉さん,そして優生について研究している市野川容孝教授の証人尋問を申請をしていましたが,これに対して,昨日,国側から「市野川さんの証人尋問は不要である」との意見書が出されました。
これに対し,原告側は,法廷で,市野川教授の証人尋問が必要であることを反論しました。この弁護団の反論があまりに素晴らしかったので,一部をここに引用します。
本件裁判で問題となっている優生政策に基づく被害の救済のための除斥期間の排除の問題、立法不作為の問題等は、一人一人の被害を見るだけで判断できる問題ではなく、優生政策による被害の社会的実態全体を正しく理解することによってこそより適切に判断されるものである。本件は、国が「証拠申し出に対する意見書」で述べるような、単なる法的評価や法律解釈論のみで判断されるような形式的で表面的な問題ではい。優生政策によって、優生手術を受けたことすら認識あるいは理解できないでいた被害者の実情、被害者がそれぞれ孤立し、「不良な子孫」というスティグマを押され家族まで社会の「お荷物」とされた苛酷な状況、それゆえ被害回復のために国家賠償請求訴訟をするなど到底想定できなかった現実、などの社会的事実を踏まえて、法的に適切に判断されるべきものである。そのような社会的事実を語るに最もふさわしい人物として被害者弁護団が推薦するのが、優生政策の問題について、フィールドワークをして被害者に現場で接しながら、その問題の本質について研究してきた市野川教授である。市野川教授を証人として申請されることを強く要望する。
(以上,一部引用)
これに対して被告国からの再反論はなく,市野川教授の証人尋問は採用されました!
市野川教授の尋問では,謝罪を求める会の活動に参加し,優生手術を受けた被害者らの話を聞いて相談を受けてきた立場として,社会学者という立場を超えて,いかにひどい人権侵害が行われていたかを浮き彫りにします。尋問担当は,新里先生の予定。次回の尋問期日は,傍聴必須ですね!
続いて,集会の様子もお届けします。日比谷文化図書館4階のスタジオプラスで,期日後集会を開催しました。
関哉弁護士による本日の法廷の解説(証人尋問のルールも説明してくれました),新里先生からは全国の訴訟の様子や,学生が始めた署名運動の紹介などがなされました。
また,恒例の意見陳述再現では,関口弁護士による意見陳述再現がありました。(いつもに比べて若干抑え気味だったような…?)
その後,北さんからのお話を皮切りに,会場からも熱い言葉が次々と上がりました。授業で興味を持った早稲田大学の学生さんたちも来てくださっていました。署名の件もそうですが,若い方々が興味をもってくれているのを感じて,弁護団も会場に来てくださっていた応援団のみなさんも,とても喜んでいました。
次回期日は2020年1月16日午後2時,次々回期日は2020年3月17日午後2時です。みなさん,ぜひ傍聴にお越しください!